私は大学生の終わりに八幡オケに入団し、以降、転勤で一時的に離れた時期を含めると30年以上在籍しています。最近、古参の団員が何人かオケを離れ、気が付くと最古参の一人となってしまいました。
私が入団した当時は八幡オケ自体が若く、メンバーも20代や30代が活動の中心であり、更には高校生など10代のメンバーもいました。それから30年強、もちろん今でも若いメンバーは少なからずいますが(中学生も!)、長く在籍しているメンバーも少なくなく、全体に年齢層が上がっています。
八幡オケは昨年、創立40周年を迎えました。最古参メンバーの一人として、八幡オケのこれまでのあゆみを少しご紹介したいと思います。
以下は、10年と少し前、30周年記念演奏会のプログラムに載せた「八幡市民オーケストラのあゆみ」に少し手を加えたものです。十分にアップデート出来ていない部分もありますが、ご容赦ください。
1.結成の経緯、団員数
(1)結成の経緯
八幡市文化センター落成に先立ち、当時の八幡市長より「ホールが出来るならオケ」とオケ結成の指示が下り、市の関係者が近郊のプロ音楽家に呼びかけ、音楽好きの人々が集まり1982年4月に結団式を行いました。
(2)団員数
結成時から90年代前半までは40〜50名で推移していました。98年頃から急増し、02年には80名を超えましたが、最近はコロナの影響により、もう少し少なくなっています。
2.演奏場所等
(1)演奏会場
第1回定期(83年11月)以降、定演クラスの演奏会は全て八幡市文化センター大ホールで行っています。ホール落成前の音響チェックは当団メンバーが中心となり行いました。92年12月、文化センター10周年記念の市民音楽祭にてベートーヴェン第九の文化センター初演を果たしましたが、これは当時の館長より「文化センターでの第九初演をぜひ八幡オケで」とのお言葉を頂いたことがきっかけとなったものです。
(2)練習場所
最初は男山児童センターでしたが、その後、男山公民館に移り現在に至っています。
(3)合宿
通常練習だけでは限界があると考え、より集中的に練習するため、95年秋に初めての合宿を宇治田原で実施。その後、京田辺竜王(食事は自炊)、比叡山坂本などに場所を移し、現在では主に大津市の圓満院門跡にて実施しています。客演指揮者にもお越し頂き、演奏会1ヶ月前の土曜昼から日曜夕まで延べ13時間練習。夜は大宴会で団員間の交流を深めていましたが、最近はコロナで自粛しています。
(4)打ち上げ
創立以来、演奏会の打ち上げは男山指月の「豊川」にお世話になってきました。練習後も一部のメンバーが長年豊川へ通い、限られた練習時間内では出来ない意見交換や打ち合わせ等を行っていましたが、最近では主に樟葉駅近くを利用しています。コロナ以降、全体での打ち上げが出来ておらず、早く出来るようになってほしいものです。
3.演奏活動
(1)定期演奏会
83年の第1回以降、次の演奏会が第59回定期演奏会となります。当初は定期の他に、「サマーコンサート」「グリーンコンサート」といった名称でオペラや軽めの曲を採り上げていましたが、次第に定期と同等の内容・重さを団員が求めるようになり、2001年秋から全て「定期」に統一しました。「サマー」「グリーン」(計13回)を合わせると、次の演奏会は「第72回」となります。
(2)ファミリーコンサート
お子様や、クラシック音楽にあまり馴染みのない方でも楽しんで頂けるプログラムにて、06年に「ファミリーコンサート」、08年に「はるもにいコンサート」を開催。楽器紹介、指揮者コーナーや男山三中吹奏楽部部員との共演等を行い、大変好評を頂きました。
(3)やわた市民音楽祭
88年11月、文化センターの開館5周年として開催された市民音楽祭に参加。以降、12回開催された音楽祭の大部分に参加。これまでに、ベートーヴェン「第九」、ショスタコーヴィチ「森の歌」、マーラー「復活」、ヴェルディ「レクイエム」といった合唱付きの大曲に取り組み、また10年1月には八幡市が平野一郎氏に委嘱した「八幡縁起」を世界初演、更に16年1月には、同じ平野一郎氏の続編「八幡大縁起 〜四人の独唱、混声合唱とオーケストラによる民俗誌」を世界初演しました。
(4)室内楽演奏会
定期演奏会等の合間を縫って、不定期に室内楽演奏会を開催し、有志団員が様々なグループを結成して室内楽を演奏しています。
(5)依頼演奏への出演
86年4月、生協主催「虹のコンサート」に出演。
87年3月、八幡東小学校育友会の依頼演奏会に出演。
97年、NHKのTV番組「ハネケン・ハカセのアットホームコンサート」に出演。出演料としてティンパニ1台を購入頂き、現在も使用しています。
00年10月、京田辺音楽連盟の依頼演奏会に出演。
02年11月、八幡市立生涯学習センター「あわてんぼうのクリスマス」に室内楽で出演。
03年3月、人形劇団クラルテ公演「セロ弾きのゴーシュ」に演奏参加。
03年12月以降数回、男山児童センター「クリスマス会ミニコンサート」に室内楽で出演。
07年8月以降毎夏、練習場である男山公民館主催の「ファミリーコンサート」に出演。
09年3月、八幡市立生涯学習センター「親子で楽しむ夢のコンサート」に単独出演。
10年12月、八幡市「あかりの祭典」に金管セクションが出演。
11年11月、当団も所属する八幡市文化協会の設立10周年記念事業「いきいきコンサート」に出演。オケ演奏に加えて、会場全体での合唱「ふるさと」を伴奏。等々。
4.プロ演奏家との関わり
(1)指揮者
創立当初は、団内のプロ演奏家数名が練習を指導し、演奏会の指揮者も務めていましたが、活動が進むにつれ、より良い音楽を目指す中で「本職の指揮者を客演で呼びたい」との声が高まり、90年1月の第7回定期演奏会で初めて、加藤完二氏を客演指揮者として招聘。その後は客演指揮者制に移行、但し特定の音楽監督は置かず、数名のレギュラー客演指揮者に交替でお越し頂き、また時折新しい方にも来て頂いてます。
また普段の練習は、客演指揮者制への移行後は団内のアマチュア奏者がトレーナーとして指導しています。
(2)ソリスト
ヴァイオリンの玉井菜採さんは、ご両親が当団団員と知り合いであった縁で、01年にベートーヴェンで初協演、以降8回にわたり協演させて頂いています。数々のコンクールに入賞し、圧倒的な技術と音楽性をお持ちの玉井さんとの協演は、当団に多大な刺激と影響を与え、当団の音楽的発展に大きく寄与していると考えます。20年以降、玉井さんとの協演がコロナで2回も中止になってしまいましたが、今年5月には「三度目の正直」でコルンゴルドの協奏曲を協演させていただく予定です。
団員関係では、ご両親が団員で幼い頃から練習に連れてこられていたヴァイオリンの見渡風雅さんと08年に、八幡市在住で高校時代に団員であったクラリネットの村西俊之氏と09年に協演。またウクライナからピアニストのアンドレイ・イエーメツ氏にお越し頂いたことも(04年)。その他、これまでに多くのソリストにお越し頂き、演奏会を盛り上げて頂きました。
(3)外部トレーナー
当団は、普段の練習は団内トレーナーが指導していますが、不定期に外部トレーナーを招聘し、セクション毎にご指導頂いています。
弦トレーナーの上田博司先生は、03年5月の定期の練習で初めてご指導頂きました。ドビュッシーでフランス音楽独特の響きの表現に苦しんでいましたが、先生の一言で音がどんどん変わっていきました。
上田先生が海外での演奏活動のため日本をしばらく離れることとなった05年、上田先生のご紹介で、大阪フィルハーモニーのヴィオラ奏者である岩井英樹先生に初めてお越し頂きました。
打楽器の早坂雅子先生は、05年10月定期で大栗裕作曲「管弦楽のための神話」を演奏した際に初めてお越し頂き、以降現在までご指導頂いています。
(4)作曲家
10年1月の市民音楽祭で委嘱作品「八幡縁起」を初演。作曲者の平野一郎氏とは作品完成前から連絡を取り合って楽器編成や演奏方法、イメージ等について詳細に打ち合わせを行い、また練習にも何度もお越し頂いて作曲家のイメージを丁寧に伝えて頂きました。全く音源のないところから作り上げる壮絶な「産みの苦しみ」はありましたが、平野さんのこの曲に対する愛情と情熱は凄まじく、大変感動的かつ貴重な体験をさせて頂きました。拍子やリズムが複雑にめまぐるしく変わる大変な難曲で、3文字と4文字の言葉を交互に唱えればリズムが取れるのではいうことで、「やわたやわたやわたやわたやわたしやわたしやわたし」と唱えながら練習したこともありました。
16年1月の市民音楽祭では、八幡縁起の続編である、独唱・合唱入りの「八幡大縁起」を初演。合唱団を含めて再び「産みの苦しみ」を味わいましたが、その分、演奏後の感動はひとしおでした。
5.団内外広報
(1)団内報「はるもにい」
団内の諸件連絡用に「はるもにい」という名の団内報を配付しています。87年頃、当時団員であった八幡市の学校の先生方が、生徒配布用プリントのノウハウを活かして初めて作成。以降毎月発行しています。当初は手書きでしたが、その後ワープロを経てパソコン化され、完成版はネットでもアクセスできるようになりました。今は紙の配付をやめ、ネットのみとなっています。練習計画、運営関係連絡、その他トピックスを掲載。過去に、40回にわたる徒然エッセイ、団員の音楽旅行記、演奏曲目の詳しい解説などを掲載。
(2)ホームページ(
http://yawata.org/)
転勤等で遠方に離れる方に「はるもにい」を読んでもらえるよう、94年頃にHPを立ち上げ、その後団外への広報用に利用することとなりました。演奏会情報、過去の演奏会記録、その他団に関する情報、団員募集等を掲載しています。
(3)ブログ「ほぼ週刊・八幡市民オーケストラ」(
http://yawata.sblo.jp/)
当団の様々な活動内容等について、より自由な形で発信し、特に団外の皆様に当団を身近に感じて頂くことを目的として、09年6月にブログを立ち上げました。「ほぼ週刊」を目標としつつ、当初は数ヶ月空くことも珍しくありませんでしたが、各パートによる輪番制を導入した11年6月以降は「ほぼ週刊」を実現しています。
6.その他
(1)八幡市文化賞功労賞受賞
10年11月、八幡市文化賞功労賞を受賞しました。同賞は「文化の振興及び発展に多年にわたり功績のあった者または団体」に贈られるもので、当団の受賞理由は「演奏活動を通じた音楽の普及・振興に対する功績が大きい」というものです。当団の長年の活動が認められたと同時に、市民の皆様に演奏を楽しんで頂けているということかと思います。
打楽器最古参