2021年05月15日

「我慢」の功罪

4月25日に圓満院で玉井菜採先生との初合わせがありました。3年ぶりの再会です。本来なら1年前に行うべきものですが、新コロナウィルスのために1年延期となったからです。曲はコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲ですが、冒頭のソロがはじまったとたん懐かしい響きに心が躍りました。相変わらず、いや益々円熟味を増した、実に美しくかつダイナミックなパフォーマンスは我々を感動の渦に巻き込みました。初合わせにもかかわらず、練習がスムーズに進行したのはトレーナーの丹念な訓練によるオケの準備の成果でもありますが、いつもながら玉井先生がオケに寄り添ってうまくリードしてくれているということが大きいのではないかと思う次第です。八幡オケは本当に恵まれています。
しかし残念なことに5月23日の演奏会は緊急事態宣言延長のため、昨年に続いて開催ができないことになりました。これまでコロナ禍の中でいかにして演奏会の実現にこぎつけようかと様々な工夫を重ねてこられた運営の人たちにとって、あと一歩で報われないのはさぞかし無念であろうと思います。再延期なのか中止なのか、この原稿執筆中はまだ明らかになっていませんでしたが、できることなら再延期として何としても玉井さんとの共演を実現したいものです。
日本における新コロナウィルスの感染者は世界の国々の発生数に比べ格段に少ないとう事実があります。これはあっという間にほぼ100%のマスク着用率を実現し、強制力のない休業要請や活動自粛などにもおおむね応じるなど、日本人の「我慢」するという性格が驚異的な自制の力を発揮したことが一因であると考えられます。しかしその「我慢」の結果、外国のように政府によるロックダウンのような思い切った措置が取られないことが終息を長引かせる原因となっているとも考えられます。
 音楽や演劇などの芸術は日本ではコロナ禍においては残念ながら「不要不急」的な位置づけとなり活動自粛を余儀なくされています。ところがそういった人前でのパフォーマンスを生業にしている人々にとっては、発表の機会がないことには収入が得られず、また自粛に対する補助もなく、生活が成り立たなという壊滅的な打撃をこうむっています。一方ヨーロッパでは音楽家たちの活動そのものは厳しく抑えられますがその生活は公務員並みに国が手厚く保証しているとう事実があります。つまり芸術は「不要不急」ではなく、人々の生活に根付いた伝統として守られています。この違いを埋めることは残念ながらそう簡単にはいかないようです。
このコロナ禍に打ち勝つ方法はワクチンの普及しかありません。幸い短期間で開発されたワクチンの効果が高く、さらに最近増え続けている変異株にも高効率で有効であるというデータも出てきているようで、ワクチンの普及によってすでに沈静化に向かっている国が出てきています。日本でも遅ればせながら徐々にワクチン接種が広がりをみせています。
皆さん、ワクチン接種が広く普及するまで今しばらく「我慢」をして確実に新コロナウィルスに打ち勝ち、心おきなく音楽が楽しめる日常を取りもどしましょう。
 最後に、日本の免疫学の権威で、最近テレビにもちょくちょく顔を出されている大阪大学の宮坂昌之先生による、日本記者クラブでの新コロナウィルスに関する記者会見がYouTubeで公開されていますので紹介しておきます。1時間半にわたる長いお話ですが新コロナウィルスやワクチンの話を実にていねいにわかりやすく解説されていますので是非ご覧になって下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=Rk3rJ6EduwQ
ちなみに宮坂先生は京大医学部を卒業されているのですが現役時代は京大オーケストラのクラリネット奏者でした。
谷 敏夫
posted by 八幡市民オーケストラ at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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